「がん」ってなに
自分の役割を果たさなくなった細胞:がん細胞
無秩序に増殖し、正常な細胞、器官の邪魔をしたり破壊したりする。
がんになる理由:遺伝子の異常、コピーミス
がんになる原因:加齢、細菌・ウイルス感染、放射線、生活習慣
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P21-25
生活習慣とがん
がんは肥満、高血圧、糖尿病とともに
生活習慣病の一つ
→ がんになるリスクは生活習慣で変わる
- 禁煙すること
- お酒は飲みすぎない
- 食生活に気をつける
(塩分控えめ、野菜とフルーツは適度に、熱いものは冷ましてから) - 運動の習慣をつける
- 太りすぎない 痩せすぎない
- 肝炎ウイルスなどの感染をチェック
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P121
参考文献②
「知らないと怖いがん検診の真実」中山富雄 青春出版P176
がん検診を受けましょう
癌を早期発見するためには定期的ながん検診が大事
受診をおすすめするがん検診
胃X線は当面の間40歳以上を対象としても良い
<目的>
がんを早期発見してがんで亡くなる人を少なくする
<有用性>
・医学的に根拠が示されている
・費用対効果を考え、多くの自治体で選ばれている
他にも多くの検診がありますが、有用性が示されていないもの、費用対効果に問題があるものがあります。最終的には個人の意思で、よく考えて選びましょう
・子宮頚がん検診は20代から受けるべき
・40代の乳がん検診は妥当(もっと早くても良い?)
・一方、胃がん、肺がん、大腸がん40歳はまでは発症例少ない
参考文献④
国立がん研究センターがん情報サービス
「がん統計」(全国がん登録)を参照データとして作成
・頻繁に検診受けても結果は変わらない
→偽陽性件数が増えるだけ
(結果的に陰性だった場合は過剰診療に)
→検診対象のがんの成長速度を考えるべき
・検診間隔を開け過ぎると
早期発見ができない
→ 癌が進行してしまう
→ 治療が難しくなる
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P24-25参考文献②
「知らないと怖いがん検診の真実」中山富雄著 青春出版P123-130
がんとウイルス
(微生物)
ウイルス/菌が関係する
がんは下記の3種類
検査で見つかったら治療
- 肝炎ウイルス―肝臓がん
採血で検査 - ヘリコバクターピロリ菌-胃癌
呼気検査や胃カメラ - ヒトパピローマウイルス―子宮がん
13歳女性(現状)でワクチン接種が推奨(将来的には男性も接種?)
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P139
がんは治る?
体の中のがん細胞を全て除去すればがんは治る(がん細胞が残っているとまた増える:再発)
一か所にある癌は手術で取れる可能性あり
→ 手術で完治の可能性あり
転移すると手術で取り切れないことも多く、完治は難しい。
- ・がん治療には手術、化学療法、放射線治療などいくつかの方法がある
- ・実際には上記の方法を組み合わせた集学的治療が行われる
- ・実際の治療はガイドラインに基づいた標準治療が行われる
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P28-35
手術 → がん細胞の塊を切除
→ ただし目視できないものは除去できない
化学療法 → がんの増殖を抑える薬物を投与
→ 正常な細胞の増殖も抑えてしまうので副作用がある
→ 薬剤の組合せとその投与期間(レジメン)を
がんの種類によって使い分ける
放射線療法 → X線などの電磁波を照射してがん細胞を殺す
→ 手術は必要なし
免疫療法 → 体の中のよそ者を排除する仕組み(免疫)を利用してがんを攻撃させる
など様々な治療がありますが、単独でがんを治療することは難しく、上記の治療法を組み合わせてより高い治療効果を得る努力がなされています。
二つ以上の治療方法を組み合せて行う治療を「集学的治療」と呼んでいます。
がんの治療は学会が策定したガイドラインを元に実施される。日本国内であればどこに行っても概ね同じ治療が行われる。
例)乳がんのガイドライン
→日本乳がん学会が策定
標準治療
ガイドラインを元に実施される治療
そのがんの専門家が世界中の論文から情報を集めて決定した最良の治療法
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P49,59
どこの病院がいい?
がんはできた臓器ごとに専門家がいる
下記サイトで専門家がいる病院を選ぶと良い
国立がん研究センターがん情報サービス
https://hospdb.ganjoho.jp/
上記で選んだ病院(がん拠点病院)は質の高いがん医療の体制(治療だけではない様々なサポートを含む)を整える目的で国が選定
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P49,59がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針から
地域のリーダーシップを取り、相互に連携しながら、病院間で下記に示した情報の共有、収集、患者の紹介等を行い、地域のどこにいても適切な診療、治療を受けられる体制づくりを目指す
・希少がん、難治がんの診療情報
・導入数の少ない治療機器の情報
・小児がん・AYA世代のがんへの対応
・緩和ケアを行う体制
・がんゲノム医療
・がん・生殖医療
がんゲノム医療
遺伝子を調べて、個人ごとに最適な治療を選択する方法
厚労省HP がん診療連携拠点病院等から
緩和ケア
がんと診断されてから始まる体の痛みや不安、悩み
これらの問題に取り組み、患者とご家族を支えること
1.治療に関する悩み
(治療法の選択、体の痛み)
2.経済的な問題
(治療費、就労関連)
3.生活上の問題
(介護の問題、家事/育児の分担など)
規模の大きな病院では、がん相談支援センター
があるので尋ねてみると良い
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html
(国立がん研究センターがん情報サービス)
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P220-225
先進医療ってなに
保険診療の候補に
なっている新しい医療
有用性が証明できれば
保険対象に
(下記は令和2.7.1~3.6.30の期間で実施件数の多い治療best4)
- MRI撮影および超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法
- 陽子線治療(高額)
- 重粒子線治療(高額)
- 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査
参考文献①
「がん外科医の本音」中山祐次郎著 SB新書P215
遺族ケアの必要性
長い場合は半年以上続く
遺族の悲しみ、苦しみ
患者の家族や親しい友達などは
大切な人を失うことにより、
否認、絶望、悲しみ、
気分の落ち込み、寂しさ、
孤独感、怒り、罪悪感などの
感情が生じ、それらには
大きな苦痛を伴う
死別前後で
タイミング、悲嘆の程度に応じた
ケアが必要
1.インターネットで検索
検索ワード
「都道府県の自治体名」「遺族ケア外来」
「グリーフケア外来」
2.日本サイコオンコロジー学会 登録医一覧
https://jpos-society.org/psycho-oncologist/doctor
3.地域の保健福祉センターに電話
保健師にサポート依頼
参考文献③
「遺族ケアガイドライン」
日本サイコオンコロジー学会
日本がんサポーティブケア学会P122
基本的に聴くことに徹するべきで、助言や安易な励ましは遺族を傷つける場合あり
「よく頑張ったね」「悲しい中よくやっているよ」などのねぎらいの言葉は良い
「しっかりするのよ」「がんばれ」は禁句です。
下記は良かれと思っても遺族を傷つける言葉です
「寿命だったのよ」
「いつまでも悲しまないで」
「気づかなかったの?」
「元気そうね」
「でも、これで楽になったでしょ」
参考文献③
「遺族ケアガイドライン」
日本サイコオンコロジー学会
日本がんサポーティブケア学会P121
AYA世代のがん
「AYA世代のがん」
独特の問題がある
- 成人診療科と小児診療科のはざま
独自のがん治療の連携が必要 - 妊孕性温存の問題
適切な情報提供、産婦人科との連携 - ライフステージの多様さ。
就学、就労、結婚、出産、子育てなど患者の悩みは多岐にわたる
PMDA 第1回小児AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会資料
参考文献/参照データ
- ①「がん外科医の本音」中山祐次郎著
- ②「知らないと怖いがん検診の真実」中山富雄著
- ③「遺族ケアガイドライン」
日本サイコオンコロジー学会
日本がんサポーティブケア学会 - ④国立がん研究センターがん情報サービス
「がん統計」(全国がん登録)
<監修>
中山祐次郎
湘南医療大学保健医療学部臨床教授
作家・くつした収集家